[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
おはようございまーす!
いよいよ戦争です! 迫力はないかなぁ…
グロい?かもです。頑張りました! 楽しんで読んでくだされば嬉しいです!
頑張って更新速度も早めて行こうと思います。
では、読む前の注意事項いきます!!
・男主人公。
・これから書く本編へ繋がる鍵となる章です。
・漢字の間違えとか文とか気にしない。
・主は文章能力はないからね?(´∀`)
・背景の絵写的な要素少なめ。
・↑だから心で、感じやがRE。
・うん、これはもうお話っていきだ、小説ではないNAI♪
・↑それでも誤字脱字教えてくだされば嬉しいです。
・感想嬉しスw
・これ、フィクションね(・∀・)
・そんでもって、読んだ事妄想して頭で具現化する 能力 !! コレ大事。
以上を守れる方は、下記から20お楽しみください。
======
明朝にリバリー国を出発して、もう七日目の朝だ。タキとレイン、東側と西側で兵を作ったリバリー国は、ハイヤードポンド中央の崖を境に別れた。タキ将軍側は、二日程余裕が持てたが、果たしてレイン将軍とダン側は準備をする余裕を作れただろうか。
ハイヤードポンドには、小さな時に訪れたきりだ。タキが父親と旅をしていた時、今、ジャローダと姿を変えているクジャを背に乗せこの崖を見上げていた。聖なる場所と呼ばれるここは、ポケモンで空を飛び、真上から良く見ると一つの雷が落ちた様に崖が出来ている状態だ。垂直ではなく、節々が角張って出来たそこは確かに崩すと周り全てが埋もれてしまう。
タキと真後ろに立つ240人の兵達は、崖を左手にドリフト国の敵兵を待っていた。真迎えに立っているタキは、じっとその姿を現れるのを待つ。
「タキ君! これを」
ふいに背後に並んでいた兵の間をかき分けてクライムがやってきた。いつもとは違うのは、トレードマークの黒い海賊帽以外、服装は全て鎧で身にまとわれている。タキも胸に鎧を身に纏い中に鎖帷子(くさりかたびら)を着けていた。只でさえもクジャより足が劣るのに、これ以上重い物を身に着けて動きが遅くなっては困る。
冷静だったタキの眼差しは、クライムに向けられやんわりと微笑む。
「どうかしましたか?」
「これを…赤ハタです。私達は絶対に君を護ります。だから、思う存分相手と戦って勝ってください」
受け取ったタキは赤ハタを乾いた土の上に差し込んだ。
「俺も絶対に負ける気はないです。だけど…もしも敗れたら…その時はお願いします」
「なーにを言ってるんです。戦う物は中から取る! タキ君と相手将軍が戦っている間に、私達が押し入ってでも参加しますので大丈夫ですよ」
鮮明な口調なクライムにタキはなんとか心落ち着かせられていた。まだ子供である自分を戦いに優れた大人が信じてくれている。心強い限り他ならなかった。タキは、緊張した体を解す様に右肩を回すとまた眼の前の一点を見つめた。
すると、薄らと一つの人影が浮かび上がる。蜃気楼のせいでその姿は地面から反射して、既に沢山の敵兵がいる様にも見えた。近づいてくる度に、本物の人影が増えていくそれは、正しくドリフト国の軍隊の姿だった。
「どうやら…もう来てしまったようですね」
強い口調ながらもクライムは、名残り惜し気にタキを見つめて優しく微笑み、リバリー国の軍隊の中に戻って行った。目に映る程近くに敵兵がやってくると、タキの目の前を陣取る若い男の姿があった。金髪の髪はそれは長く、女性と見間違える程の彫りの深い美麗な顔つきだ。風貌も身軽に白い衣を身に纏っているだけ。
姿だけでも自分を舐めているとしか思えない。タキは、冷たい視線を彼に送りながら乾いた唇を開いた。
「ドリフト国での職は使用人か何かですか?」
質問したタキに対して頬を桃色に染めながら彼は、上品な様に似合わない淫らな顔で笑ってみせた。
「あらやだわぁ…聞かされてたのと違って可愛い子じゃなぁい。そして、アナタのその読みはハ・ズ・レ! 奴隷売りをしているのぉ」
「そうですか。どおりで戦う身なりがなってないと思いました」
「そうかしら? 純白の衣ってとぉーってもセクシーじゃなぁい? 外の国で手に入れたみたいで、ディスコード王様からいただいたのよぉ」
言いながら体をくねらせ長い後ろ髪を上げて見せる。タキはそんな卑猥な姿に目も向けない。だけど、男のくせに少し気味が悪いな。タキの嫌そうに口元を引きつる顔を見て、彼は溜息をつくと細い腰に両手を当て続けた。
「勝ったら女子供を私にくれるって、ディスコード王様が言ってくれたの。しかも、戦争って子供も駈り出されるじゃなぁい? いいじゃないアナタ…他にもまだいるかしら?」
「……もし俺が貴方に負けたとしても、貴方は女も子供も…自分の命さえも祖国に持って帰れないでしょう」
俯きながらタキは言うと、右横に差していた赤旗を持ち上げ彼に投げた。細腕で受け取った姿を確認するとタキは赤い球を右手に大きく息を吸い込んだ。
「赤ハタを挙げます!! この戦い…俺は絶対にドリフト国の思い通りにはさせません」
「うふ♪…負ける気が無いってことね?」
受け取った赤ハタの柄に唇を寄せながら、彼も腰に身に着けていた赤い球を手に取った。そして、大きく目を見開いた彼は口の両端を吊り上げながら喉で笑う。
「私の名前はコール! 白い肌に茶っ毛は上等よ坊や。それに、赤ハタを挙げて自分から私に痛めつけてもらいに来ちゃうマゾヒストだったなんてもぉっと素敵! あああぁっ!! すっごい! 戦う前からゾクゾクしちゃうわぁ」
両肩を持ちながらまた彼、コールはくねくねと腰を動かすとタキから受け取った赤ハタを地面に差し直した。了解した合図だ。差された赤ハタを見た、リバリー国の軍隊もドリフト国の軍隊も、砂や石ころを蹴散らしながら一斉に動き出した。一列に並び、将軍を見護るように軍隊は配列を変えた。タキとコールの周りにはもう何も感じさせるものはない。
あるのは、背後からの仲間の想いと大事なパートナーだけだ。
「さあ! 沢山弄ってアゲルから泣き喚きなさい。ウインディ!」
コールの投げた赤い球から大きな犬の姿をしたオレンジ色の毛並みのポケモンが現れた。その姿は、どこか見覚えがある。顔をしかめるタキだったが、右手に持っていた赤い球を宙へ高く放り投げた。
「クジャ! 頼む」
「クジャァァ!!」
眼の前に現れたクジャは、どこかいつもと違う雰囲気だった。赤く鋭い瞳は、本当に獲物を狙う蛇のように恐ろしくも感じた。相手の姿を見たリバリー軍隊の中にいたクライムが、ワグダを左に腕を組む。
「相手のあのポケモン…多分、炎タイプですかね」
「そんなん、なんでぇわかるんでぇ?」
重そうな銃器を腰や肩に身に着けるワグダは、重さに声を濁らせながらそう聞き返した。クライムも腰に身に着けていた赤い球を二つ手に取ると続ける。
「あくまで…ですよ。私もあのポケモンは見た事がありません。さっ! 我々もタキ君の援護や護りを固めますよ!」
言いながらクライムの赤い球から、イワパレスとギギギアルが飛び出す。クライムの行動に習ってか、リバリー国の兵達もイワパレスを何匹も赤い球から先頭に出した。
「いいですか? イワパレス達はリバリー軍隊の前方に出てください! 将軍が戦っている間は、出来る限りかたくなるを使ってください!」
クライムに従って、イワパレス達は軍隊の前方側に回り込み、黙って自身を固めていた。それに従って裏側では、ハーデリアやミルホッグ、レパルダスが沢山赤い球から現れタキ達を見守っている。軍隊は、少ない銃器を持ち寄って構ていた。
準備の整った事を確認したクライムは、残ったギギギアルに指示を出した。
「ギギギアル。貴方は、タキ君が勝った後に力が出せるようギアチェンジです!」
「ぎぎぎぎぎぎぃ」
指示を受けたクライムのギギギアルは、その互いの歯車を高速で回転させた。クライムは深く頷くと、目の前で争うタキを見つめた。
相手、コールの使うウインディは大きな体でタキとクジャに突進してくる。ウインディの攻撃から身を交わすと、次はそのウインディから沢山の炎の塊が出てきてクジャを襲う。タキは迷うことなくその炎に指を指した。
「ミラーコート!」
声を聞いたクジャは、軽く唸りながらタキと自分の周りを大きなシャボン玉で覆った。それは割れることなくウインディの出した炎を弾き飛ばしていく。少なからず自分に戻ってきた技を喰らい、ウインディは眼を細めていた。
「なかなかやるじゃない…頭がイイなんて益々お金になりそうだわぁ! それに比べて…んもぉ!! アンタ達もなんとかしなさいよッ!」
歯茎を見せながら地団駄を踏むコールを見て、敵陣の兵達は五十匹程のバルジーナを赤い球から出現させる。タキとクジャの真上では、バルジーナ達が三重の円を描きながら黒い渦を作り飛び回る。
これはやばい。クジャのミラーコートは、物理攻撃は跳ね返す事が出来ない。コールは、鼻から大きく息を吐くと続ける。
「草蛇が、蛇に睨まれた蛙ちゃんになってるわねぇ」
「そんなことはさせませんよ! イワパレス達! バルジーナの群れに向かって、うちおとす!」
背後からのクライムの声に、イワパレス達が立ち上がり、堅いハサミに力を溜めてバルジーナの群れに放つ。幾つもの岩がバブルの様に撃ち放たれる。
段々と弱っていくバルジーナを見てコールも黙ってはいない。
「アンタ達! 敵軍を風で吹き飛ばすのよ!!」
指示に従って、バルジーナ達が一列に並ぶ。そして、群れ全体で大きな黒き翼を広げて風を巻き起こし出した。このままでは、折角経てた作戦と体制が崩される。
「偶数のイワパレス達は、岩石砲です!!」
クライムが指示を出した時、ドミノが崩れる様にイワパレス達が風に耐え切れず、赤い球の中に戻されていく。全く、こんなに熱くしてくれるとは…このオカマもたいしたものです。
「しかし…易々と違う目的に流されてしまうのは、私は一番大嫌いなんです」
言いながらクライムは、腰に身に着けていた赤い球の一つからシビルドンを出現させた。
「シビルドン! バルジーナの群れに向かって電磁砲です」
言葉通り、シビルドンは自分の滑った肌をじりじりと光らせ、十分充電されていた自らの電力を弾にし、バルジーナへと放出させた。喰らったバルジーナ達が、悲鳴を上げながら空中から何羽も落ちてくる。眼を回しながら電気を帯びた姿を見れば、全滅に近い状態にさせたことが解る。
しかし、まだ戦いは終わらない。バルジーナの群れが居なくなった空間に、再び2対2の争いに引き戻される。コールは楽しそうに笑むと長身の彼に似合った白銀で出来た剣を衣下から抜き出した。
「貴方は全てを失った時の顔が素敵だとおもうのぉ。きっと色っぽくて素敵だわぁ!」
「気色の悪いっ…! クジャ…」
新たに指示を出そうとしたタキの横入りをするように、ウインディがクジャの首に噛みついた。心配の声を出す間も空しく、タキの元には剣を持ったコールがやってくる。
「駄目、ダメぇっ! 人間は人間らしく戦いましょぉ?!」
頭上に振りあげられた剣に、タキも瞬時に腰に身に着けていた短剣を取り出し構えた。ガキンと金属の交わる音が響く。片手で短剣を持っていては、コールの剣の重さに叶わず、思わず両手で持って相手の剣を受け止めていた。
厭らしいコールの顔と剣は段々とタキに近づいていく。体制を保つのが苦しくなったタキは、力の限り相手の剣を押し返した。上手くいったのか、コールの剣を持った手は金属音と共に弾き返される。
瞬時に短剣を片手に持ち替えコールの懐で振るうが、反応が早かったコールは後方に下がりながらも白銀の剣をタキに振るった。気づいたタキは素早く身を避けてから地面にガクリと膝をつける。
痛みだす横腹を手で押さえながら、短剣を構えてコールを睨む。ぼたぼたと色鮮やかな血が押さえていた指の隙間から落ちてくる。見つめて笑むコールの左頬にも横に一筋赤い線が引かれていた。
「いつまでもずぅーと獣と一緒にいられると思ったぁ?」
喉で笑いながら自分の頬の傷口を手で拭うコール。更に口に唾液を含み、自分の剣に付いたタキの血をべろりと舐め取って見せた。そんな相手を見て、恐怖とは違った何かを感じて鳥肌が立つ。
遠くで見守っていたワグダもタキ達の様子を見て舌打ちしていた。
「なんでぇ、あいつぁ?! タキ坊も押されてやがる」
ワグダの隣で腕を組みじっとその姿を見ているクライムには、ワグダの声は聞こえてはいない。クライムの見つめる先は、タキとコールより後ろにいる敵国の軍隊の方であった。相手のウインディというポケモン…何か怪しい気がする。
一方、クジャの方はウインディとの取っ組み合いの最中だ。クジャが長い尻尾でウインディを払いのけると、ウインディは炎の塊を放ってくる。
少々体を捻らせてからクジャはミラーコートで炎技を弾き飛ばす。有り余った炎の塊は、リバリー軍隊も忘れずに襲いかかってきた。気づいていたクライムは、片腕を広げて大きな声で指示を出す。
「イワパレス! 全員でまもるです!」
指示され通り、今まで身を固めていたイワパレス達が一斉に輝きだした。炎はイワパレス達のまもるで防がれ、クライムやワグダ、リバリー軍隊を襲えず散って行った。まもるを解いたイワパレスに、クライムはそっと近づくと炎の当たった場所を触る。
熱さの残るイワパレスの岩肌には、木の焼け屑が残っていた。
やはりそうでしたか。この戦場にきて火炎放射やその上を行く大技を出してこない。ウインディ自体から炎が現れている訳ではない。この木屑は矢でしょう。刃を付けずに木の棒だけの矢に火を付け、使っている様に思える。炎の矢…きっと、敵軍の策略。もしかしたら、あのウインディにも何か隠されているのかもしれませんね。
クライムは、呆れたように息を吐くとワグダの背負っていた矢の入った籠の中を欠き回す。去れるがまま、ワグダは不思議に思っていると一本の木の矢が抜かれた。そして、赤い球からオノノクスを出し矢の先端を指差す。
「オノノクス、少し火を分けてください」
そう言ったクライムの言葉にオノノクスは長い首で頷くと口から少しだけ炎を吐いた。火のついた矢は、木で出来ている為、空気と結合しながら燃え上がる。クライムはその矢を持って、イワパレスの背後に向かうと大きな声を出した。
「タキ君! 聞こえますかぁーっ?!」
「ッ?!! はい?! 呼びましたか?!」
「戦いながらでいいです! これは罠です! これを見てください!」
どうか気づいて!
ぎっと歯を食いしばるとクライムは炎の矢を思いっきり空へと放った。イワパレスを抜け空中を飛ぶ、見覚えのある炎の塊はすでに矢の原型が留まっていない。どうして、ウインディと同じ炎技がリバリー軍隊側から上がっているんだろう。俺に合わせて、炎タイプのポケモンは連れて来なかった筈なのに…いや、まさか。
上がった炎の塊を見て、タキとクジャはにやりと微笑んだ。
成程。よく相手を見るとウインディが攻撃を繰り出す度に、背後に活火山でも積んでいるのか、と疑うくらい幾つもの炎の塊が真上に平行に上がっている。ポケモンが自ら作り出す形状の技じゃない。明らかに人間が作ったものだ。
鎧と言い、男の女と言い、ふざけてる。俺達は命がけでここにいるんだ。
余所見をするタキにコールも黙ってはいない。白銀の剣をまたタキの頭上へと振るう。剣を避けたタキに追い打ちをかける様にコールはタキの手の甲を力強く踏みつぶした。バキッという音が体中に響き、手を駆け抜けて背筋の凍るような痛みが走る。手の骨を砕かれた。
持っていた短剣も掴めなくなったタキの頭をコールは力強く蹴り飛ばす。地面に叩きつけられたタキは少ない時間で受けた痛みで放心状態に陥っていた。
「んふ♪ 私の顔に傷つけたんだから…ディスコード王様に言われなくとも、じっーわじっーわあの世に送ってあげるわぁ」
震えるタキの頭をコールは足でぐりぐりと捻じ伏せる。頭を蹴られた時に傷がついたのか、タキの頭からも顔にかけて血が滲み出てきた。そんなコールの足を痛みに顔を歪ませたタキが掴んだ。その時、一瞬見えたタキの首筋の傷に気が付いたコールは額に手を当てた。
「アナタ…首筋に傷跡があるのね。ざぁーんねぇん! それじゃあお金にならないわぁ! だから…やっぱりここで死んでもらうわねぇ?」
何度目になるだろう頭上に振りかざされた白銀の剣は、タキ目掛けて降りてくる。遠くからその姿を見ていたワグダは、ようやく出番だと両手に下げていた機関銃を構えた。
「伏せてろタキ坊!!!」
ワグダの声を聞いたタキは、コールの足を放して頭を伏せた。機械質な銃の音にそれに撃たれる肉を叩く音。耳触りな水の弾けるような音は、勿論見れば鮮明な赤だ。何度も銃器で撃たれたコールの体は、何を話す訳もなく地面に軽い音だけたてて倒れた。
しかし、荒い息と血走ったコールの瞳がタキを捕らえる。遠くで見ているクライムとワグダは身震いをしながらコールの姿を見つめていた。
「これを喰らって生きてるたぁ…」
「勝てば自分の名誉も奴隷も…彼の欲望を満たす全てが手に入る」
「なんてぇ奴だ…」
「ええ、あの方にこそ化け物の異名が合っていますね」
遠くの彼らの皮肉など瀕死寸前のコールの耳に入ることはない。狂ったように荒い息を吐きながら笑いだす。タキは折れた右手の甲を庇いながら立ち上がり、コールの傍を離れた。弱ったコールに気が付いたクジャは、傷ついたタキの周りを自分の体で囲った。
ウエンディもまたコールの傍に戻った。
「まぁだまぁだ…これからよぉおっ? アナタは私のトリックに気が付いていないものぉ」
不敵に笑むコールを見て、タキは上からコールを見降ろした。その顔は、誰が見てもしてやったと口元が緩んでいる。そんなタキの表情を見て、嫌な予感がしたコールの顔は青ざめていく。
「貴方がそう言ってくれたおかげで全部分かりましたよ。俺の勝ちです! クジャ、リーフストーム!!」
タキの周りを囲っていたクジャの体が、緑の風と共にコール達に放たれる。体の切り裂けるような痛みに、コールは悲鳴を上げていた。その隣にいたウインディの姿も忽ち姿を変えていく。見覚えのある、ゾロアークの姿だ。
遠くで見ていたクライムはそれを見て思わず飛び跳ねてしまった。こんなに我々に有利な戦いがあるのだろうか?
「最高です! 相手はこちら側がタキ君率いるリバリー軍だと思っていなかった。不味いと思った彼らが化かしたのがあの見た事もないポケモンだったわけです」
「ってこったぁ?! レインのところは…」
「きっと炎タイプの敵と戦っているはずです」
遠くで喜ぶクライム達の事は全く分からないが、タキも同じように心底満足していた。レインが戦っているのは炎タイプのポケモン。この戦い…絶対に勝った。
だが、まだ戦いは終わらない。タキは折れた右手の甲をゾロアークに向けた。
「クジャ! いえき!」
言われてクジャは口から黄緑色の液体をゾロアークに投げかけた。じわりと音を立てながら泡がゾロアークの体毛に入り込んでいく。
「これでお前はそのトリックを使えない」
タキの言葉と呼吸の小さくなっていくコールを目に、ゾロアークは冷汗を流すとクジャの周りを青色の円で包みこんだ。封印だ。タキはそれを見て口から息を濡らす。
「今その技を使っても…なんの意味もない」
クジャの使ったいえきの技は、何度も使おうとは思っていなかった。この戦いの為にあのリバリー国で戦いに出る前の最後の2日間、強くなろうとどれだけ時間を積んだことか。
「クジャ!! リーフストーム!!」
「クジャアアァっ!!!」
大きく吠えながらクジャは体を撓らせてゾロアークとコール目掛けて尻尾を振るった。尻尾の先からは深緑の葉達が舞い上がりクジャの起こしたリーフストームの中で激しく踊りだす。
「グアアアアアアアアアッ!!!」
悲鳴を上げながらゾロアークはリーフストームの中で生き絶えた。クジャのリーフストームが収まる頃、コール将軍は白目を剥いて、それは哀れな姿で倒れていた。静かになったハイヤードポンドの東には、ドリフト国将軍コールの息の音は聞こえない。
目の前が真っ白になって行く。緊張していた体が腰からがくりと倒れてしまいそうだった。それでも分かる。
俺は勝った。
西側の大きな爆発音と共に、縛られていた背後の大切な仲間達が、タキに笑顔を見せながら敵軍隊に攻めていく。イワパレス達は、砕ける鎧の効果で俊敏に敵に攻め込み、岩石砲を放っていた。クライムのギギギアルは、二つに連結した歯車を使い相手を潰し殺していく。
相手も怯む事無く攻撃してくるが、クライムのシビルドンの放電によって動きを狭まれた。
今でも倒れそうなタキの体をクライムは肩から抱き寄せる。気づいたタキは虚ろな瞳でクライムを追うと微笑んだ。
「後は任せます…」
「はい。後は私がやっておきます。タキ君は休んでいてください」
クライムの声を聞いて安心したタキは、クライムの腕の中ゆっくり瞳を閉じた。後を任されたクライムは、タキをクジャに任せ敵軍へと走り出す。
リバリー国とドリフト国、ハイヤードポンドの戦い。
東側は、なんとか勝利を収めた。
21に続く…
03 | 2025/04 | 05 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 |
October 10
学生
出身:シンオウ地方 コトブキシティ
ゲームや漫画好き。物語の構想を練るのが好物。←または捻る。←の作業時はとにかく変人になる。アップルティーが好きでチーズが嫌い。自分でよーさんとニックネームを付けている、なんか寂しい人。
▼スタ
September 20
学生
出身:シンオウ地方 ハクタイシティ
いつも物語の感想や間違えを指摘してくれる、代珠の心強いお友達。ホムペ等を作ってくださっています。好きなものはお猿。トラウマは、多分ゴリチュウです。
お気軽にこちらへお返事を…
→kokoyozuyozu@mail.goo.ne.jp