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皆さんこんにちはw
今回は、少し血出てます。注意です。
夜中にもう一つ更新出来たらしますので、宜しくお願いします。
では、読む前の注意事項いきます!!
・男主人公。
・これから書く本編へ繋がる鍵となる章です。
・漢字の間違えとか文とか気にしない。
・主は文章能力はないからね?(´∀`)
・背景の絵写的な要素少なめ。
・↑だから心で、感じやがRE。
・うん、これはもうお話っていきだ、小説ではないNAI♪
・↑それでも誤字脱字教えてくだされば嬉しいです。
・感想嬉しスw
・これ、フィクションね(・∀・)
・そんでもって、読んだ事妄想して頭で具現化する 能力 !! コレ大事。
以上を守れる方は、下記から⑱お楽しみください。
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夕暮れ時。小さなリバリー城も街もみな煌びやかな赤色に染まる。沈む陽と同じように、リバリー国の声も徐々に消えていった。今日は、普段とは違う静けさだ。立ち並ぶ色とりどりの家々の一軒から、黒髪の少年、レインとその相棒であるエンブオーが出てきた。家の扉の向こう側には、髪を後ろに束ねた女性が現れる。その顔は、どこか悲しそうだ。
レインは、女性をエンブオーと共に見つめながら口を開いた。
「行ってきます。お母さん」
「ごおぉ…」
声をかけたレインの言葉に沿う様にエンブオーも喉を鳴らした。女性…レインの母は、首を横に振るとレインに近づき手を強く握りしめる。目尻に涙を溜める母は、震える声で話し出した。
「もしも、大人達だけの戦争であれば、絶対に戦いに入っては駄目よ。貴方はまだ若くて、やりたい事もやらなくてはいけない事も沢山あるんだから」
「うん、心配掛けてごめんね…だけど大丈夫だよ」
そういうと、レインは握られていた母の手からするりと逃れ、エンブオーと共にリバリー城へと歩き出した。
タキとクジャが、王様を連れてドリフト国から無事に帰還した。だけど、それはリバリー国だけに伝えられていた話しで、本当はドリフト国から逃れ、サザン国に行っていたことは僕しか知らない。それでも、兵や国民全体に伝えられたのが「リバリー国がドリフト国と戦争を起こすこと」だった。
城の兵士もその家族も勿論、国民達もそれを聞いて悲しんでいた。中には、怒りの声も聞こえる。それでも、血相をかいた王様の姿を見れば、それしか方法がないことを理解することもできた。
城の大きな扉を開け、大きな広間に辿り着くとレインはエンブオーを赤い球にしまい、大きな天井を見上げた。すると、突然大きな扉からまた人が入ってくる。肉屋の旦那、ワグダだ。ワグダは、レインを見つけるとその大きく角張った手を振った。
「よぉ! レインじゃねぇか」
「ワグダさん、お久々です」
「ああ、しっかし…昔っから頭の利口そうな顔は変わらねぇな」
へへ、とワグダは笑うと頭をがりがり欠きながら続ける。
「そうだ! お前さん、話し合いの場所は何処かわかるかい?」
「ワグダさんもですか?! 国民には、まだ話を回してないはずですが…」
「いーやよ。さっき、タキ坊と、白いのと黒いのに会ったんでぇ。話し合いをするのは、それで聞いたのさ」
厳つい顔つきで微笑むワグダを見ていて分かる。タキは、ワグダが苦手だ。きっと、脅される様に聞き込まれたに違いない。レインは、小さな溜息を吐くと右手を行儀よく手前に出して見せた。
「こっちです。最初に言っておきますけど…この話し合いを外部に漏らしたら駄目ですからね?」
「わぁーてるよ! 心配するな」
そう言いワグダは大きく体を反らしながら笑っていた。レインは、静かに広間を抜け、廊下を歩いていく。ワグダも急いでレインの隣に付いた。廊下横の綺麗な庭には、まだ戦争を告げられていないチラーミィ達が楽しそうに歌を唄っている。廊下を抜けて、書物室と書かれた札の貼られた扉をレインは開いた。そこには、すでに沢山のリバリー兵達が集まっている。
小さなテーブルの目の前には、タキと見知らぬ白と黒の海賊帽を被った二人が立っていた。それを囲むように、リバリー兵達が並んでいる。タキは、レインに気が着くと落ち着いたその瞳と口元を緩ませる。
「レイン! 元気だったか?」
言った彼を見て少しほっとした。生きて帰ってくれて本当に良かった。しかし、よく見ると首元から顔にかけて大きな縦傷が付いている。まだ少し赤いそれは、最近出来た傷跡だと語っていた。なにか見られていると感じたタキは、すぐに首元に手を当てるとヘラっと笑う。
「かっこ悪いだろ。自分の身さえ守れなかった」
言いながらおどけた表情でタキは笑っていた。レインは、少し黙りながらそんなタキを見つめていた。笑いごとじゃないだろう、タキはいつもそうやって人を気遣って、傷ついて…
「馬鹿。無事でよかったよ」
「へへ、ありがと」
「そーさ!! 無事でぇーなによりだっ、なあ?!!」
会話をしていたレインとタキの間を入ってきたワグダを見て、タキはぎょっと眼を丸くすると冷汗を額に流しながら無理やり微笑んで見せた。
「あははっ、ワグダさんも来たんですか」
「おうよぉ! 国と家族と…大事な物のためだ! この戦いはぜってーに勝ってみせる」
ワグダの力強い声に周り一同、おお、と声を鳴らした。タキがそれを見て嬉しそうに笑むのを横に、隣にいた白と黒の海賊帽子二人が拍手しながら、その場でぺこりとお辞儀をして見せる。
「皆さん…素晴らしい団結力です! 私が国の兵をやっていた頃にも劣らない…。私は、クライム。今は、船の行きの船長をしております」
「僕はダン。今は、船の帰り船長してます。今日はクライムと二人、戦争参加しに来ました」
クライムは丁寧に、ダンは少し片言に、それでも自分なりに丁寧にそう告げた。レインは二人にお辞儀をするとタキと机を挟んだ。周りの兵もクライムやダン、ワグダも小さな机を見つめる。タキは、そこに丸まった地図を広げると、近くにあった本で地図の角を押さえ代わりにして口を開いた。
「今回、皆に集まってもらったのは知っての通り、これからドリフト国と戦いをするからだ。俺は、リバティ王様や自分の命を守れたとしても、国や国民の心を護る事は出来ませんでした。皆、本当にごめんなさい」
頭を深々と下げると、タキは直ぐに地図に向き直りど真ん中を指差した。
「戦いは、他の国にもポケモン達にも被害のない場所…この地方の真ん中で起こそうと考えてる」
「ハイヤードポンドですね」
タキの右横にいたクライムが話し出す。
「ハイヤードポンドは、広大な岩肌で出来ています。草も花も…水さえも無い。生き物が住むことさえできないので、人々からは神の宿る土地と言われています。そして、地獄と天国、闇と光…黒白を分ける様に、それは大きな壁が出来ています」
「クライム、言うとおり。神作ったような壁…壊したら、全部無くなってしまう。人間達は、皆そう思ってきた」
ダンが言う隣で、クライムは大きく首を縦に振ると顎に手を当て続ける。
「戦うには、壁を崩して場を広くするしかありません。ハイヤードポンドは戦いにくい場所です。諦めるしかないと思いますが…」
「それは…どうでしょう」
クライムの言葉にレインがようやく口を開く。
「壁を崩さなくても、双方に分かれて戦えばいいんじゃないでしょうか?」
言いながらレインはタキが先程指を指していた真ん中、ハイヤードポンドを机に転がっていた羽ペンで線を引き、真っ二つに割った。レインは続ける。
「全体的に西と東で分けて攻撃する。きっと、相手もそう考えてくるはずです。ほら…」
説明しながら持っていた羽ペンを地図の上へと持っていく。
「ハイヤードポンドの上は、ちょうどドリフト国です。いくら気性の荒いディスコード王でも、真正面から攻めてきてハイヤードポンドの壁を崩そうとは思わないでしょう」
「なるほど」
納得したようにクライムとダンは瞼を閉じ頷く。だが、ワグダは眉間に皺を寄せながら腕を組み、話しだす。
「しっかし、あれだなぁー…地図だと近くに見えるが、ここは相当遠い場所だ。戦争前に人もポケモンもダウンしちまう」
「そうですね。俺はこの上を王様のウォーグルで飛んでドリフト国に向かったので短時間ですんだけど、人間や空を飛べないポケモン達がここまで歩くとなると疲れて戦いにならない。ポケモン達を赤球に入れて休める事も出来るけど、赤球の数は限られてる」
「ふむ、酷く疲れるでしょう。身を護る鎧、剣や盾、槍や弓矢、水と食料。それに、今作っている武器も持っていくのでしょう。あれは、鉄砲と言いましたか?」
首を傾げるクライムに、ワグダはいっししと不気味に笑みながら続ける。
「おうよ!! 今はぁ、ちょうど球を連射出来るやつを作ってるところでぇー」
それは強そうだ、と思う反面、三人と兵士達は下唇を噛み締めた。タキは、難しい顔をしながら口を開く。
「国内での準備と行き、ハイヤードポンドに着いてからの襲撃の準備。ざっと見て、一週間はかかる」
「それに比べて、ドリフト国はハイヤードポンドから近い。相手が僕らと同じ考えなら、きっとハイヤードポンドに来るだろうね。しかも他の国に知られない…自分達が勝てば、好きなように言い並べられる」
「相手…思う壺」
ぼそりと言ったダン。そう、他の国にもポケモン達にも被害は出ない。だがしかし、自分達が負ければそれを知られる事もなく、勝った方が何かと言えばその通りになってしまった。
ワグダはぎっと歯を噛み締めると机を叩いた。
「そーはさせっかい!! 相手より先に着ければいいんでぇー!」
「ワグダ、言うとおり!!」
びしっとワグダに指を指すダン。タキも口端を上げると話し出す。
「そうだ…ドリフト国は、ディスコード王以外は十分に食べ物も水も飲めない生活をしていた。国民達も、ディスコード王を嫌ってる。兵の体力を作るにも、武器や食料を準備するのにも、なにより国民達からの信用を得るのに時間が掛かるはずだ」
「っとなると…一週間でも大丈夫そうですね。ここにいる期間を二日、行くのに三日、襲撃への備えに二日費やせれます」
「ここで家族と会えるのも二日間だけってぇーことかい…」
そりゃないぜ、と腕を脱力させて溜息をつくワグダ。しかし、ワグダは真剣な表情で腰に手を当てると続ける。
「心配しないでください。覚悟は出来てます」
静かにそう言ったタキ。レインもそれを聞いてなにを考える事もなく口を開く。
「僕だって戦えます。リバリー城で無駄に兵士として過ごしていません。戦わせて下さい」
二人の冷静な表情にワグダはたじろぐ。それを見ていたダンはニヤリと、今まで見た事もない様な不敵な笑みを浮かべる。
「いい! ふたり、既に戦う男の眼してる。作戦練る! 戦い、どうするか…」
「ええ、まずは西側と東側で分かれるグループを決めましょう。ちなみに、私のポケモンは、ギギギアル、イワパレス、オノノクス、シビルドンです」
クライムがそう言うと、ダンも指折り数えながら話し出す。
「僕、アイアント、シャンデラ、ドリュウズ、ダストダス!」
ダンに続いて、ワグダが苦笑いしながら話し出す。
「俺ぁーポケモンを連れてねぇなぁ…」
ワグダに続いて、レインが話し出す。
「僕は、エンブオーとギガイアス」
レインに続いて、タキも話し出す。
「俺は、ジャローダとチリーンだ」
「そうですか。ジャローダとチリーン…?ですか…では、こうしましょう」
クライムはそう言いながら、レインから羽ペンを受け取ると地図上に沢山の走り書きをしていく。沢山の戦法が書き込まれていくのを見ていると、彼が昔、本当に兵士だったことを思わせる。書く手を止め、クライムは皆の顔を見上げるとタキとワグダを指差した。
「二人は、私と東側を護ります。西側は、レイン君とダンで攻めてもらいましょう。東側の将軍は、タキ君です」
「え? 俺ですか? どうして?」
「うん、タキ君は皆を護ってくれそうだからですかね」
自分で言い納得するとクライムは皆からの賛成も聞かずに進める。
「西側の将軍は、レイン君。ダンは、レイン君や兵達の動きを見て動いてください」
「大丈夫! 僕、そういうの得意!」
にんまりとそれは嬉しそうに微笑むダンは、レインの肩にしがみ付いて飛び跳ねていた。クライムは、タキを見つめると続ける。
「兵は、他にも何時間か後に送らせると言う事で、最初は240万人連れていきましょう。西側240、東側240で合わせて480万人です。さて…肝心なのがタキ君のジャローダです」
「ジャローダですか?」
「そう。君は、一度ドリフト国に赴いています。ジャローダを連れている事を知られてはいませんか?」
「うっ…」
苦い顔をしたタキを見て、やはりとクライムは頷き、近くにいた兵が首元に巻いていた赤いバンダナを奪う。そして、ひらりと揺らす。
「タキ君のジャローダは、草タイプ。炎、虫、飛行、毒、氷と沢山の弱点があります。相手はきっと、それらを狙って襲ってくるはず…。そして、ハイヤードポンドを双方に分けて戦うと言う事で、戦いが狭い場所となる。相手が一気に襲ってくるとすれば、地面に穴を掘るくらいしないと駄目ですが……もし、相手が赤を上げたら…」
赤いバンダナを揺らすクライムに、レインの背にいたダンがひょっこり顔を出す。
「赤ハタ! 相手、自分達。赤ハタ揚げると、将軍と将軍と一対一のバトルはじまる。周りの兵、決まった場所から動けない。二人だけの殺し合い…」
聞いていたレインとタキよりも緊張し来たワグダは、ごくりと息を呑んでいた。クライムは続ける。
「戦いに勝った将軍は、兵と共に一気に敵地に攻め込み、敵兵を破る事が可能になります。ですが、負ければ主導権の無くなった私達が破れます。一か八かの駆け勝負の様なものです。しかし、私達や敵兵も一対一の勝負中、何もせずにいる訳ではありません。将軍に助けを出したり、そのまま遠くから弓矢を射ったりして敵に攻撃を出すことも可能です」
「観戦しているんじゃなく、あくまで様子を覗っているだけ、ということですか」
答えたタキに頷くとクライムは続ける。
「狭い場所で無我夢中に戦うより、この戦いの方がいいです。敵は絶対に赤ハタを揚げず攻めて来るでしょうが、私達が先に赤ハタを出せば大丈夫です。敵の将軍は、必ず弱点のポケモンを使ってくる。そしたら、私やワグダさん、兵達がタキ君を後ろから支えて見せます。なので、貴方は上手く道を開いてください」
「分かりました」
タキの答えを聞くと、次にクライムはレインを見て話し出す。
「2分の1の確立になるので、多分相手はタキ君を予想して炎タイプのポケモンを多く連れて来るでしょう。レイン君は、相手と同じタイプと戦ったり、虫、氷タイプといった相手の弱みを握れる可能性が高い。赤ハタを上げられたら、それらに対応しやすい技を究めるべきです。しかし、時間が限られています。とにかくダンとどう兵を動かすのかを決めるべきです」
話を聞いていたレインは腕を組みながら静かに考えだす。相手が炎タイプを出せば、こっちにはまだギガイアスがいる。岩タイプの攻撃を繰り出せば、事はすぐに運ぶはずだ。タキのジャローダが有利になる水タイプは絶対に出してこないだろう。きっと、なんとかなる…かな。
考えるレインの後ろから、ダンは離れると自分の腰に身に着けていた4つの赤い球を机に置いた。
「相手ポケモン。最初、どう来るか分からない。相手、同じ赤球持ってるかもしれない」
「俺もそう思ってました。ドリフト国はリバリー国にスパイを送り続け、この国で開発されたあらゆる物や技術を持って行ってました。ディスコード王にしか使われない技術は、きっと戦いに応用されてくる」
タキの言葉を聞いたクライムは、目を見開いて目の端を上げると怒ったような顔つきで兵達を睨んだ。
「そういうことがありますか…。この話し合いも、もしかしたら聞かれているかもしれませんね」
え、とタキは声を濡らしながら兵達を見回した。ここにいる兵の誰もが、今までの顔ぶれでずっとこの国を支え合ってきた仲間だ。今になって、そんな事があるはずない。思うタキの横、クライムは続ける。
「今ここに、まだドリフト国のスパイの方々がいましたら手を上げてこちらに来てください。殺すことは、私もしたくありませんので何もしません。その代わり、この国から絶対に出る事を許しません。命だけは奪わないという意味です」
ざわつく周りの兵達。それぞれが違うと言いあっている。殺されるという恐怖心から、皆自分の身を護ろうと必死になっている姿は、仲間であろうと醜く見えた。そんな兵の中で並んで二人、兵が前へと出てきた。彼らは、だらだらと冷汗を流し、顔を真っ青にしながら慌てて話し出す。
「おっ、俺らがスパイだ。だが、もう何もしたりしねぇ! 言われた通りここにいるから、命だけは助けてくれ!」
「はい。それは約束しましょう」
言われた途端、ドリフトのスパイ二人は床に手を這って、土下座をして見せた。この人達は、俺が10歳のときにはもうこの国にいたのに…その頃からディスコード王はこの国を狙っていたのか。悲しそうにタキはスパイ二人を見つめていると、彼らが頭を下げながらニヤリと厭らしい笑みを浮かべたのを見てしまった。何か企んでいる。
「…ごめん、レイン」
言われてレインは、タキの表情を見て戸惑った。無表情を装っていた顔が、悲しそうに目を細めている。それは昔、彼が両親を失った時と同じ顔だった。何かあったのかと、レインが口を開く前にタキは、すぐ表情を戻すとレインが腰に下げていた剣を引き抜いた。次に彼を見たとき、彼はスパイの一人を切り倒していた。周りに赤い血しぶきが舞い上がる。容赦なく切ったタキに返り血が着く。
そんなタキを見て、周りにいた兵もクライムもダンも、レインさえも言葉を失った。ワグダは、唖然としている
「な…にやってんでぇ……タキ坊」
静まった辺りに鉄の匂いが充満していく。タキはふらりと生き残ったスパイの一人に向き直った。剣を持った右手や服には、先程まで隣で息をしていた人間の血がべっとり付いている。
「ひっ!! ひいぃぃっ!!! や、やめろ! 本当に俺は約束を守る!! 殺さないでくれぇ!!!」
何も言わずただ冷たい眼で見降ろすタキに彼はゾクリと背筋を凍らせると大粒の涙を流しながら大声で狂ったように口を開いた。
「お前は悪魔だぁっ!! 化け物だっ!!! 約束破りやがって!! 嘘つ…っ!!」
最後の言葉も言えず、彼は血しぶきと共にばたりと床に崩れ落ちた。タキの周りに二つの血溜まりが広がった。
「・・・嘘つきはお前たちだ」
俯きながらぽつりとタキはそう言うと、自分のマントで剣に付いた血を拭き取り、レインの鞘に戻した。そして、タキは俯きながら続ける。
「作戦も大体決まりましたし、準備に取り掛かりましょう。それが終わったら、家族と戦いの前にいっぱい話をしてきてください」
言ったタキの言葉に、兵士達が挨拶をしてから扉から出ていく。ワグダは、血塗れのタキに向かって冷やかな目線を送ると、兵士と同じく扉を抜けながら続ける。
「タキ坊はまだ子供ってぇーのに大人だな。人を殺せる勇気があるたぁ立派なことだ。戦いの時も、俺達をそうやって護ってくれるんだろうよ。しっかしな…殺しは正義じゃねぇんだよ」
言いながら部屋を出ていくワグダを見て、クライムは頬を膨らませるとダンと一緒に顔を真っ赤に染める。
「まったく! あの人は全然分かってませんね!」
「理解できない男! 最低!」
言いながらタキの頭を優しく撫でると、そのままワグダを追ってその部屋を出ていった。部屋の中には、タキとレインだけが残される。いや、死体を合わせたら四人いる事になるか。レインは、後ろからそっとタキに近づき声を掛けようと手を伸ばすが、タキは背後からでもそれに気が付き、後ろを振り向かずそのまま先に声をかけた
「レインも早く家族のところに行きなよ。俺はまだ仕事が残ってる」
「なら、僕も手伝うよ。死体を運ぶんだろ? それなら二人いたほうが」
「いいから行けって言ってんだろ!!」
急に怒鳴られてびくりと体を震わせるレイン。タキは、はっと後ろを振り返りそうになるが、そのまま死体を見つめて続ける。
「俺は平気だから…早く両親と少しでも過ごせよ。しばらく会えなくなるんだから、少しの間でも沢山顔見ておけ」
柔らかな声で言うタキを見ながらレインは下唇を噛んだ。それじゃあ、家族のいない君は今、どうする気なんだ? 一人で死体を二体担いで、床に敷かれた血溜まりを拭うのか? そんなこと、タキを置いて出来るわけない。
部屋から出るのに悩んでいるレインの背を押すように、タキの腰に身に着けていた赤い球からクジャとベルが出てきた。クジャは、レインを見つめると静かに頷いた。ここは任せて、と言う様にクジャとベルは微笑んでいる。
そうか、タキにはポケモン達がいる。きっと、大丈夫だね。レインは任せるよ、と同じく微笑むとそのまま静かに部屋を出ていった。
クジャとベル以外いなくなってしまった部屋で、タキは大きく息を吐くと血溜まりの中、がくりと足の力が抜け腰を落とした。震えながら血塗れになった両手を見つめる。小刻みに震えるそれを見れば、今自分が震えているのだと分かる。初めて人を殺めてしまった。これから、戦争で沢山の人やポケモンを殺さないといけない。
顔を歪ませながら悲しそうにタキは血塗れの両手で顔を覆った。
「ちりりーん」
「くじゃ、くぅじゃ」
鳴きながら、震えるタキの頭をベルは小さな手で抱きこんだ。クジャも長い体で彼に巻きつくと、つたを伸ばしてそっと頭を撫でる。血の匂いが染みついた部屋は、最後の二日ではなく、はじまりの二日を赤で彩っていた。
⑲に続く…
03 | 2025/04 | 05 |
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October 10
学生
出身:シンオウ地方 コトブキシティ
ゲームや漫画好き。物語の構想を練るのが好物。←または捻る。←の作業時はとにかく変人になる。アップルティーが好きでチーズが嫌い。自分でよーさんとニックネームを付けている、なんか寂しい人。
▼スタ
September 20
学生
出身:シンオウ地方 ハクタイシティ
いつも物語の感想や間違えを指摘してくれる、代珠の心強いお友達。ホムペ等を作ってくださっています。好きなものはお猿。トラウマは、多分ゴリチュウです。
お気軽にこちらへお返事を…
→kokoyozuyozu@mail.goo.ne.jp