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日記,ポケモンアレンジ小説中心に更新中のブログサイトです! ※This site is Japanese only.
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続々更新中どすえw


では、読む前の注意事項いきます!!
・男主人公。
・これから書く本編へ繋がる鍵となる章です。
・漢字の間違えとか文とか気にしない。
・主は文章能力はないからね?(´∀`)
・背景の絵写的な要素少なめ。
・↑だから心で、感じやがRE。
・うん、これはもうお話っていきだ、小説ではないNAI♪
・↑それでも誤字脱字教えてくだされば嬉しいです。
・感想嬉しスw
・これ、フィクションね(・∀・)
・そんでもって、読んだ事妄想して頭で具現化する 能力 !! コレ大事。


以上を守れる方は、下記から26お楽しみください

=====


 ビクに会いに行くのは戦いが終わったらと決めていたのに…。本当に王様の言葉に従ってクライムの船に乗ってよかったのだろうか。女子供、老人を乗せたクライムの船は、それは狭くてこのまま海に沈んでしまう、と思ってしまうほどだった。タキは、食料の入った樽の近くに身を寄せて足を抱き寄せていた。
 戦争でやられた右手の甲は、まだ動かしていなくても痛くてたまらない。だが、それ以上にレインとダン、ベルの死が信じられないでいる。西側の軍隊は、二桁の生存者しかいなかった。

「(…タキさん)」

 ふわりとメロエッタがタキの目の前にやってくる。タキは抱え込んだ足に顔を埋めながらメロエッタの声に耳を傾けた。

「(お友達や…ベルさんも死んでしまったんですね……ダンも…)」

 最後の言葉に声を噛み殺すとメロエッタも悲しそうに浮いた体を地につけた。タキは、ようやく顔を上げると重々しく口を開く。

「俺は…生きている者全てを護りたいとか…そんな甘い考えを持ってた。だけど、違ったんだ。本当に護りたかったのは、自分にとって大切な人達だけだった。きっと自分の世界を壊したくなかったから…」

「(そうですね…本当に護りたい人は、一番大切な人達です。だから、彼もダンもベルさんも…大切な人の為に命を懸けた。命懸けて護られて、生き残った私達の気持ちはどうするつもりだったんでしょう。ダンは本当に…っ)」

 震える声で話すメロエッタに気が付いたタキはそっと彼女の頭に手を絡めた。彼女の瞳からは涙が溢れている。震える小さな体をタキは優しく抱き寄せた。

「ごめん、メロエッタ。君も辛いのに…」

 そう、一番辛いのはメロエッタだ。彼女は、安住の地を求めて世界を旅していた。傷つき辿りついた、この国も結局、彼女の安心できる場所ではなかった。メロエッタは涙を流しながらずっとタキの傍を離れない。
 船に乗る周りのリバリー国民も皆、知人や友人、家族を失った事に悲しんでいる。船の中は暗闇に埋もれていた。そして、それを照らすように目の前に白い灯台が広がる。以前やってきた時よりも、花々の数が増えている気がした。船の中からあの白い灯台を見ていると、ビクを迎えに来た錯覚に捕らわれてしまう。
 自分は勝った。まだ戦いは続くが、それでも一度勝った事に喜べない自分がいる。
 ビクの待つ、リバティガーデンに船は止まった。揺れの止まる船に気づきタキは静かにメロエッタから離れた。舵を握っていた自分と同じく傷だらけのクライムが、悲しげにこちらへやってくる。よく見れば、眼の下に熊が出来ていた。眼も充血していて痛そうだ。

「着きましたよ。さあ、会いに行ってあげてください。もしかしたら…これが本当に最後になるかもしれませんから」

 そう言われて、ヒビが入ったように胸が痛んだ。クライムの声は低く、言葉はとても冷たかった。否定は出来ない。それが真実だからだ。
 タキは、クライムに一礼すると降ろされた木の板を渡り、リバティガーデンへと足を降ろした。そのタキの後をメロエッタは追う。踏みつぶさない様に花々を避け歩いていく。白い灯台に辿りつけば、タキはその扉の前で立ち止まった。メロエッタは、そんなタキを扉の上の縁に腰掛けながら見つめる。
 今の自分は、相当酷い顔をしているだろう。こんな姿でビクにあったら、絶対に何か言われる。笑え、笑うんだ。笑顔を思い出せ。
 言い聞かせながらタキは、扉を開けた。扉の向こう側には、蝋の溶けきったランプが置いてあり、辺りは真っ暗だ。ビクがいる部屋の場所だけ、一点の光が灯っていた。躓かない様に注意を払いながら、タキは暗がりの階段を降りていく。
 眩い光に眼を細めながらタキは、ビクのいる部屋の中に入った。部屋は、以前変わらず綺麗でただ、ビクにプレゼントした積み木の玩具などが床に散らばっていた。目の前にいるビクは、急にきた客人に戸惑いながらもタキと知って口元を緩めた。

「(タキ!!)」

 久々に聞くビクの声。しかし、ビクの方はタキの姿を見て唖然と言葉を失っていた。体に傷が増えている。なんだか無理して笑っている様にも見えた。

「(そっちは…いろいろ大変そうだな)」

「うん。ビクもまだお仕事続くよ」

「(なんだぁ…迎えに来たと期待したのに残念だぞ)」

 腕を脱力しながら溜息をつく。そんな姿も久々で、思わず笑みが零れてしまった。

「今日は何してたんだ?」

「(今日か? 今日は、この汽車で遊んでた!)」

 満面の笑みで玩具の汽車を持ち上げるビク。汽車の玩具は所々にもう傷が沢山付いていた。タキはビクに顔を合わせる様に屈む。

「その玩具…気に入ってくれたんだな」

「(ああ! 見た事無かったから凄く気に入った! タキの本にも載って無かったぞ)」

 持ってきておいた三冊の本をタキの眼の前にちらつかせながらビクはそう言った。本の種類は、体術入門や歴史書、リバリーが独自に調べ上げたポケモンについての本だったはず。それは、探してもないはずだ。
 タキはくすくすと思わず、怪我をしている右手で口を押さえながら笑ってしまった。その姿を見てむっと眉間に皺を寄せたビクに気づき、機嫌を損ねまいとタキは膝を鳴らした。

「そうだ。今度お仕事が終わったら汽車を見に行こう」

「(おお!!? いいなぁ! 凄く、すっごく楽しそうだ!)」

 間の抜けた声を濡らすと、ビクは無邪気な笑顔のまま続けた。

「(レイン達も誘おう!)」

「あ…」

 無垢な笑顔で言われたビクの無関心な言葉にタキは胸を締め付けられた。タキが反応しきれず、言葉に詰まっているとビクが続ける。

「(オイラな? タキとクジャがドリフト国に行ってる時に、レインには凄くお世話になったんだ。エンブオーも格好良くて…)」

 小さな腕を組んで頷くビクには、本当の事を言えなかった。このまま、本当の事を言ってしまったら戦争のきっかけであるビクが傷ついてしまう。言わなくても本当の事を知れば、ビクは酷く激怒するだろう。
 無理矢理笑った自分の姿は、ビクの眼にどう映ってるんだろうか。

「そうだな。お仕事終わったら、レイン達も誘って行こう。レインもエンブオーも…クジャやベルだって一緒だ」

「(ふふっ! いいな、楽しみだ)」

 言えない。それはきっと、また大切な人を失ってしまうかもしれないから。この何にも捕らわれずに微笑むビクに会えなくなるかもしれないから。それでも、俺が消えてしまったら…。ビクをこの島に迎えに来る人は誰なんだろう。ビクの気持ちは、ビクとの約束はどうなってしまうんだろう。考えた瞬間、目の前にある死を想像してしまう。
 もう二度と会えないかもしれない、小さな大切な家族を感情に任せてタキは抱きしめた。

「(!?)」

 急に抱きしめられてビクは驚くとタキの肩を撫でる。

「(た、タキ…? どうした? 苦しいのか?)」

 来た時から、包帯を覆ってるタキの体がビクは心配でならなかった。ここを護るより大変な仕事をしているのだ、と痛感する。優しく撫でていると、抱きしめているタキが話しだす。

「ビク…俺と約束してくれないか?」

 抱きしめられているのでビクからはタキの表情を覗えないが、いつもと違い弱々しい声なのは分かる。タキは続ける。

「俺が次に迎えに来るまで…絶対にこの部屋から外に出るな。必ず迎えに来るから」

 冷静で優しいその言葉はなんだかよく分からないが信じてみようと思えた。ビクはタキから少し離れてにっこり微笑む。

「(分かった。オイラは、ずっとタキを待ってるぞ)」

 最後に微笑むビクを見て、タキは顔を逸らすと背を向けて部屋を後にした。この約束だけは、絶対に護って見せる。どんな事が起きようと絶対に…俺は、ビクを迎えに行くよ。

 真実を知らない小さな勇者は、今日も彼の言った理想を想い、彼を待つ。




======




 約束を交わして、タキは直ぐにビクの部屋から飛び出した。降りてきた暗い階段を躓きそうになりながらも駆け上がって行く。ビクのあの笑顔を見れば、今はただ甘えてしまうような気がした。俺にはまだ、大切な人達が残ってる。
 白い灯台から出ると、扉の上の縁に腰降ろしていたメロエッタが心配そうに声を掛けてきた。

「(大丈夫ですか?)」

「ああ、大丈夫。それより早くリバリー国に戻らないと…」

「(ええ…早くしましょう。嫌な予感がします)」

 ふいに見たメロエッタの顔が強張っているのを見て首を傾げるが、遠いが隣に聳えていたリバリー国に突然、炎が燃え上がったのを見てその理由がはっきり分かった。


 27に続く…

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代珠
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非公開
自己紹介:
▼代珠(よず)
October 10
  学生
出身:シンオウ地方 コトブキシティ

ゲームや漫画好き。物語の構想を練るのが好物。←または捻る。←の作業時はとにかく変人になる。アップルティーが好きでチーズが嫌い。自分でよーさんとニックネームを付けている、なんか寂しい人。


▼スタ
September 20
  学生
出身:シンオウ地方 ハクタイシティ

 いつも物語の感想や間違えを指摘してくれる、代珠の心強いお友達。ホムペ等を作ってくださっています。好きなものはお猿。トラウマは、多分ゴリチュウです。
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